東京都練馬区の在宅診療クリニック「シルバーケア クリニック」

ご家族によるご自宅での看取り

人生の最期を自宅で迎えることは普通のことだったのですが,医療保険制度の充実もあるためか,最近の日本では病院でお亡くなりになる方が約80%になっています.この数字は世界的に見ても多い割合であり,これを見直す機運が高まっています

病院で死んではいけないということではなく,患者さんが自分の人生の最期の時をどこで迎えたいかというご本人の希望を中心に考えるべきと思います.しかし,核家族化の影響で人の死に接することが少なくなっており,増して自宅で身内が亡くなる事に強い不安を感じられるご家族の方も多いのではないでしょうか.

病院であれば,主治医のいる日中の時間帯での死亡の場合は主治医が,主治医のいない夜間の場合は当直医がご臨終を確認します.これに対して,自宅ではご家族が見守ることが中心になります.死は途方もなく悲しく,誰にとっても受け入れがたいことですが,人間にとっては避けることができない事であり,受け入れるほかはありません.

定期的に訪問診療して経過を見ている場合,患者さんに死が迫っていることは診断可能です.そして,その病状が進行したために亡くなった場合は,臨終に立ち会わなくとも死亡診断書を書く事が可能です.医師法第二十条は「医師は,自ら診察しないで治療をし,若しくは診断書若しくは処方せんを交付し,自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し,又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない.但し,診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については,この限りでない.」としており,この規定によれば,亡くなられた場合に最後の診察から24時間以内であれば,ご家族から「何時に息を引き取った」との連絡で死亡診断書を書くことが出来ます.24時間以上経過している場合には,往診して死亡を確認して死亡診断書を書きます.

死は自然な経過であり,犯罪ではありません.主治医が来るまではご遺体に触ってはいけないとか,着替えさせてはいけない,などということはありません.静かな旅立ちをご家族で見守っていただくことが大切なことです.

〒177-0044 東京都練馬区上石神井2-37-5 シルバーケアクリニック 院長 長坂不二夫

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